3DGSBlender 5.3VFX検証 2026-09-19・読了 約6分

Blender 5.3の
3DGSネイティブ対応を
1,720万粒の渋谷で検証する

ロケハン3Dの中村です。
Blender 5.3で、3D Gaussian Splatting(3DGS)がアドオンなしで読み込み・描画できるようになります。
渋谷スクランブル交差点の1,720万粒の全景データで、描画速度とメモリ、VFXの素材としてどこまで出せるかを確かめました。
結論は、背景プレートとプリビズには十分使える一方、ライト・深度・書き出しの3点で止まるです。

Blender 5.3のEEVEEで描画した渋谷スクランブル交差点の3DGS
EEVEEで描画した1,720万粒の渋谷です。1920×1080・64サンプルで1枚1.7秒。看板の文字や横断歩道まで、アドオンなしでここまで出ます。
PLYを読み込む→ カメラを決める→ EEVEE / Cyclesで描画→ EXRで合成へ
この記事で得られるものBlender 5.3の3DGS対応で何ができて、どこで止まるかを、実データの数値と画像で判断できます。対象は公式デイリービルド(5.3.0 Alpha、2026年9月18日版)です。正式リリースは11月10日の予定で、それまでに挙動や数値が変わる可能性があります。

01 何が変わったか──PLYを読み込むだけで3DGSになる

File > Import からPLYかSPZを選ぶだけで、Point Cloudオブジェクトとして読み込まれます。
種類は「3D Gaussian Splats」になり、Workbench・EEVEE・Cyclesのすべてで描画できます。
1粒ごとに次の属性を持ちます。

属性内容
position位置
scale大きさ
rotation向き(Quaternion)
radiance:base基本色と不透明度
radiance:sh_0〜球面調和の係数(視点で変わる色)
  • 球面調和は3次(45係数)まで読み込まれ、描画にも反映されます。
  • 座標は自動で変換され、Zが上の状態で配置されます。
  • ジオメトリーノードのDelete Geometryで範囲外を消すと、3DGSのまま切り抜けます。
  • Set Point Cloud Typeノードで、普通のポイントとの切り替えもできます。

02 検証環境

項目内容
Blender5.3.0 Alpha(main.1a542e41319f / 2026-09-18)
GPURTX 5090 32GB / driver 610.47
データ渋谷スクランブル交差点 PLY / 17,201,445粒 / 1.17GB
比較用等間隔に間引いた10万・100万・400万粒
出力1920×1080 / 64サンプル / Cyclesはノイズ除去なし

数値は3回測った中央値です。
初回はシェーダーの準備を含むため、別に記載します。

03 描画性能──1,720万粒でも1枚2秒前後

粒数読み込みEEVEE(初回/2回目以降)Cycles GPU(初回/2回目以降)
10万0.01秒0.69/0.19秒1.26/0.48秒
100万0.08秒0.75/0.32秒0.80/0.65秒
400万0.31秒1.08/0.59秒1.23/1.04秒
1,720万1.6秒2.41/1.73秒2.78/2.57秒

1,720万粒でも、EEVEEで1枚1.7秒、Cyclesで2.6秒です。
カメラを回す24フレームの連番は、EEVEEで1枚1.52秒、Cyclesで2.47秒でした。
メモリはRAMが3.2GB、GPUメモリの増加が約5GBに収まります。
1,720万粒の.blendは919MBで、保存0.34秒、開き直し0.6秒で扱えます。

Cyclesで描画した渋谷の全景
Cycles(GPU・64サンプル)で描画した同じ画角です。EEVEEとほぼ同じ見た目で、ネオンなど明るい部分がやや鮮やかに出ます。

リリースノートには「性能は理想的ではない」とありますが、この環境では実用的な速さです。
GPUが弱い環境や、球面調和を多く持つデータでは結果が変わります。
また、間引いたデータは粒のすき間が目立つため、実案件では全量で使います。

04 合成の基本はそのまま使える

機能EEVEECycles使い方
透過背景○○アルファ付きで合成へ渡せます
CGとの前後関係○○手前のCGが正しく重なります
ホールドアウト○○CGでスプラットをくり抜けます
シャドウキャッチャー—○CGの影だけを取り出せます
被写界深度○○レンダー時にかけます
モーションブラー○△Cyclesは今回の設定で多重像になりました
Depth・Normalパス△△値は出ますが穴とノイズがあります
Mist・Position・Vector・Cryptomatte○○値が出ます
渋谷の交差点に置いた赤い箱のCG
交差点に置いたCGの箱です。手前のCGはスプラットより前に正しく描画されます。
Cyclesのシャドウキャッチャーで取り出したCGの影
Cyclesのシャドウキャッチャーを地面に置いたところです。スプラットはCGの影を受けませんが、影だけを取り出して合成すれば地面に落とせます。
被写界深度で背景をぼかした渋谷
被写界深度をかけたところです。手前の箱にピントを合わせ、背景のスプラットが自然にぼけます。

05 本番で止まる4つの点

1つ目は、ライトが効かないことです。
スプラットは光を出す素材として描画され、撮影時の光が色に焼き込まれています。
強いライトを当てても色は変わらないため、夜景に変えるような背景のライティング変更はできません。
CGを置くときは、撮影時の光の向きにCG側のライトを合わせます。

2つ目は、深度パスに穴があることです。
スプラットのある画素のうち7.5〜8.4%で深度が記録されません。
粒が半透明の部分で、深度が無限遠になるためです。

黒い点が散らばった深度パス
深度パスを可視化したところです。黒い点が深度の記録されていない画素です。深度を使ったフォグやポストの被写界深度ではノイズになるため、被写界深度はレンダー時にかけます。

3つ目は、書き出すと色が消えることです。
PLYに書き出すと中身が0粒のファイルになり、USDでは位置・大きさ・向きは出ますが色と不透明度が入りません。
HoudiniやNukeへ3DGSのまま渡すことはできないため、Blenderで描画してEXRで渡します。

4つ目は、Apply Transformで見た目が崩れることです。
オブジェクトの変形のままなら崩れませんが、変形を適用すると粒の大きさが元のまま位置だけ広がり、すき間だらけになります。

Apply Transformで粒の大きさが残ったまま広がった3DGS
1.5倍に拡大してApply Transformしたところです。マッチムーブで位置を合わせたあとも、変形は適用せずオブジェクトのまま残します。
マルチレイヤーEXRは1パス1ファイルで出す今回のアルファ版では、複数のパスを1つのEXRにまとめるとCombinedしか入りません。メッシュだけのシーンでも同じなので、3DGSの問題ではありません。コンポジターのFile Outputノードでパスごとに別のEXRにすると、深度や法線も書き出せます。

06 まとめ

Blender 5.3の3DGS対応で、制作に使える範囲はこの3行に収まります。

  • 背景プレート・プリビズ:1,720万粒でも1枚2秒前後で描画でき、画質も十分です。
  • CGとの合成:前後関係・ホールドアウト・被写界深度はそのまま使えます。影はシャドウキャッチャーで取り出します。
  • 本番の壁:ライトが効かない、深度に穴がある、書き出すと色が消える、Apply Transformで崩れる、の4点です。

SPZの読み込みと、本物の球面調和を持つデータでの見た目は、正式リリース後に改めて確かめます。

SCAN / 3DGS

ロケハン3Dでは、実在の空間を
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撮影に使えるロケ地を3DGSで記録し、BlenderやUnreal Engineで扱える形式でお渡しします。
背景プレート・プリビズ・VFX合成まで、用途に合わせてご相談ください。

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Credits / 制作

制作クレジット

中村 航
中村 航Kou Nakamura
ロケハン3D 代表 / 検証・執筆

ロケハン3D(LOCAHUN 3D)代表。
3DGSスキャンとゲームエンジン・AIを組み合わせた撮影ワークフローを研究・検証している。

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