01 何が変わったか──PLYを読み込むだけで3DGSになる
File > Import からPLYかSPZを選ぶだけで、Point Cloudオブジェクトとして読み込まれます。
種類は「3D Gaussian Splats」になり、Workbench・EEVEE・Cyclesのすべてで描画できます。
1粒ごとに次の属性を持ちます。
| 属性 | 内容 |
|---|---|
| position | 位置 |
| scale | 大きさ |
| rotation | 向き(Quaternion) |
| radiance:base | 基本色と不透明度 |
| radiance:sh_0〜 | 球面調和の係数(視点で変わる色) |
- 球面調和は3次(45係数)まで読み込まれ、描画にも反映されます。
- 座標は自動で変換され、Zが上の状態で配置されます。
- ジオメトリーノードのDelete Geometryで範囲外を消すと、3DGSのまま切り抜けます。
- Set Point Cloud Typeノードで、普通のポイントとの切り替えもできます。
02 検証環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Blender | 5.3.0 Alpha(main.1a542e41319f / 2026-09-18) |
| GPU | RTX 5090 32GB / driver 610.47 |
| データ | 渋谷スクランブル交差点 PLY / 17,201,445粒 / 1.17GB |
| 比較用 | 等間隔に間引いた10万・100万・400万粒 |
| 出力 | 1920×1080 / 64サンプル / Cyclesはノイズ除去なし |
数値は3回測った中央値です。
初回はシェーダーの準備を含むため、別に記載します。
03 描画性能──1,720万粒でも1枚2秒前後
| 粒数 | 読み込み | EEVEE(初回/2回目以降) | Cycles GPU(初回/2回目以降) |
|---|---|---|---|
| 10万 | 0.01秒 | 0.69/0.19秒 | 1.26/0.48秒 |
| 100万 | 0.08秒 | 0.75/0.32秒 | 0.80/0.65秒 |
| 400万 | 0.31秒 | 1.08/0.59秒 | 1.23/1.04秒 |
| 1,720万 | 1.6秒 | 2.41/1.73秒 | 2.78/2.57秒 |
1,720万粒でも、EEVEEで1枚1.7秒、Cyclesで2.6秒です。
カメラを回す24フレームの連番は、EEVEEで1枚1.52秒、Cyclesで2.47秒でした。
メモリはRAMが3.2GB、GPUメモリの増加が約5GBに収まります。
1,720万粒の.blendは919MBで、保存0.34秒、開き直し0.6秒で扱えます。
リリースノートには「性能は理想的ではない」とありますが、この環境では実用的な速さです。
GPUが弱い環境や、球面調和を多く持つデータでは結果が変わります。
また、間引いたデータは粒のすき間が目立つため、実案件では全量で使います。
04 合成の基本はそのまま使える
| 機能 | EEVEE | Cycles | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 透過背景 | ○ | ○ | アルファ付きで合成へ渡せます |
| CGとの前後関係 | ○ | ○ | 手前のCGが正しく重なります |
| ホールドアウト | ○ | ○ | CGでスプラットをくり抜けます |
| シャドウキャッチャー | — | ○ | CGの影だけを取り出せます |
| 被写界深度 | ○ | ○ | レンダー時にかけます |
| モーションブラー | ○ | △ | Cyclesは今回の設定で多重像になりました |
| Depth・Normalパス | △ | △ | 値は出ますが穴とノイズがあります |
| Mist・Position・Vector・Cryptomatte | ○ | ○ | 値が出ます |
05 本番で止まる4つの点
1つ目は、ライトが効かないことです。
スプラットは光を出す素材として描画され、撮影時の光が色に焼き込まれています。
強いライトを当てても色は変わらないため、夜景に変えるような背景のライティング変更はできません。
CGを置くときは、撮影時の光の向きにCG側のライトを合わせます。
2つ目は、深度パスに穴があることです。
スプラットのある画素のうち7.5〜8.4%で深度が記録されません。
粒が半透明の部分で、深度が無限遠になるためです。
3つ目は、書き出すと色が消えることです。
PLYに書き出すと中身が0粒のファイルになり、USDでは位置・大きさ・向きは出ますが色と不透明度が入りません。
HoudiniやNukeへ3DGSのまま渡すことはできないため、Blenderで描画してEXRで渡します。
4つ目は、Apply Transformで見た目が崩れることです。
オブジェクトの変形のままなら崩れませんが、変形を適用すると粒の大きさが元のまま位置だけ広がり、すき間だらけになります。
06 まとめ
Blender 5.3の3DGS対応で、制作に使える範囲はこの3行に収まります。
- 背景プレート・プリビズ:1,720万粒でも1枚2秒前後で描画でき、画質も十分です。
- CGとの合成:前後関係・ホールドアウト・被写界深度はそのまま使えます。影はシャドウキャッチャーで取り出します。
- 本番の壁:ライトが効かない、深度に穴がある、書き出すと色が消える、Apply Transformで崩れる、の4点です。
SPZの読み込みと、本物の球面調和を持つデータでの見た目は、正式リリース後に改めて確かめます。
ロケハン3Dでは、実在の空間を
VFXの背景として使える形でスキャンします
撮影に使えるロケ地を3DGSで記録し、BlenderやUnreal Engineで扱える形式でお渡しします。
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