3DGSUE5BlenderAI背景制作 2026-11-03・読了 約7分

3DGSスキャンからAIで
背景制作を行う

ロケハン3Dの中村です。
東京都檜原村の払沢の滝の森をXGRIDS K2でスキャンし、その3DGSを基準に、UE5で動かせる背景を制作しました。
地形、岩、木道、木、植物、水を、AIが書いたスクリプトでスキャンから順に起こしています。
この記事では、2分の動画に沿って工程をまとめます。
K2の写真と比べた結果と、残っている差も載せます。

工程をまとめた動画です。2分、音声なしです。
K2でスキャン→ 3DGSをUE5へ→ 形と位置を読み取る→ AIが層ごとに生成→ 写真・3DGSと比較→ 修正
この記事で分かること3DGSスキャンを基準に、照明を当て直せてカメラも動かせる背景を作る工程が分かります。AIと人の分担、写真との比較の方法、まだ合っていない部分も載せています。

01 作ったものと進め方

3DGSは見た目をそのまま残せますが、照明を変えたり、岩や木を1つずつ動かしたりはできません。
そこで、3DGSを見本にして、同じ森を物ごとに分かれた3Dシーンとして作り直しました。

UE5で描画した完成シーン
UE5で描画した完成シーンです。Blenderでシーンを組み、UE5.8へ移してLumenで描画しています。

制作はClaudeとCodexに任せ、BlenderとUE5を動かすスクリプトを書いてもらいました。
岩、木、地面などの担当を分け、作った担当とは別の担当が、比較画像を見て点数を付けます。
私は出てきた画像を見て、次に直す場所と優先順位を指示します。
この進め方と、これまでの失敗は、自社の手順書にまとめて次のシーンでも使っています。

3DGSを自動変換したものではありません3DGSをそのままメッシュに変換したのではなく、スキャンから読み取った形と位置をもとに、部品を別に作っています。植物のモデルや葉の素材には手持ちの素材集も使い、光の環境にはPoly HavenのHDRIを使っています。

02 スキャンから形と位置を読み取る

まずK2で現地を歩いてスキャンし、3DGSにします。
LCC4UnrealでUE5へ読み込み、完成形を比べる基準としてシーンの中に置きます。

UE5に読み込んだ払沢の滝の3DGS
UE5に読み込んだ3DGSです。ここから先は、すべてこのスキャンと比べながら進めます。

次に、スキャンから形と位置のデータを取り出します。
取り出したのは、地形の高さ、岩161個の位置と大きさ、木22本の位置、植物約10万5千株の配置です。

スキャンから読み取った岩・木・植物の配置を上から見た図
読み取った配置を上から見た図です。丸が岩と木、緑の点が植物です。

03 地形から順に積む

読み取ったデータから、層ごとにシーンを生成します。
同じカメラで3DGSから切り替えると、どの層が何を担当しているかを確認できます。

地形から水まで、順に積んだ映像です。字幕は日本語です。
まだ作っていない部分について映像と画像の途中段階では、まだ作っていない空の近くを3DGSのまま残し、明るさも編集で下げています。層だけだと、白い空に背景の破片が浮いて見えるためです。

地形

スキャンの地面の高さから、穴のない1枚の地形を作ります。
データがない岩の下や隙間は、周囲の高さから補います。

生成した地形
地形だけの状態です。滝の周りの上部は3DGSのままです。

地面と遠景

地面の肌を作り、落ち葉や小枝を配置します。
奥の斜面には、スキャンの表面を使っています。

地面と遠景を加えた状態
地面と遠景を加えた状態です。

岩と根

岩は、スキャンの位置と形から起こします。

岩と根を加えた状態
岩と根を加えた状態です。

木道

木道は、写真から測った板の位置に合わせて、1枚ずつ別の板として作ります。

木道を加えた状態
木道を加えた状態です。

木

幹の位置と太さをスキャンに当てはめて、木を立てます。

木の幹を加えた状態
木の幹を加えた状態です。

植物と水

最後に、読み取った配置へ植物を置き、川と滝の水を入れます。

植物を加えた状態
植物を加えた状態です。
水まで加えた状態
水まで加えた状態です。

04 岩・木・木道・草を整える

全体が揃ったら、部品ごとに作り込みます。

岩

スキャンから起こした岩は、161個のうち138個で底が開いていました。
このままだと隙間から空が見えるので、底を閉じて地面の下まで延ばします。
表面の苔と岩肌は、写真素材をもとにBlenderで層を重ねて焼き込みます。

苔の付いた岩と川
岩と苔です。

幹と枝葉

樹皮の色は22種類を用意し、7つの撮影位置の写真に合わせます。
葉には光が透ける材質を設定します。

手前の幹と奥の滝
樹皮です。苔の付き方も写真に合わせています。
下から見上げた枝葉
枝葉です。

木道の板

板には1枚ずつ、わずかな反りとねじれを付けます。

木道の板と奥の滝
木道です。

草の接地

配置した約13万5千株をシーンと照合し、浮いている3,544株を下ろすか移動します。

木道の周りの草
接地を直した草です。

05 川と滝を作る

川は、Blenderで計算した流速に沿って水面を流します。
流れの速い場所には白い泡を出します。

白い泡の出ている川
川と泡です。

滝は、岩壁のスキャンに水を落とすシミュレーションを行います。
計算結果をそのまま使うと見た目が崩れたので、結果をもとに水の帯へ置き換えています。

岩壁に水を落とすシミュレーション
滝のシミュレーションです。
UE5で描画した滝
置き換えた滝です。

06 色・凹凸・光を分けて確認する

完成画だけを見ていると、原因が色なのか、形なのか、光なのかが分かりません。
そこで同じカメラのまま、色・凹凸・光に分けて確認し、原因のある所を直します。

色だけを表示した画
色だけです。
凹凸だけを表示した画
凹凸(法線)だけです。
光だけを表示した画
光だけです。

光はPoly Havenの曇天HDRIと太陽で作り、Lumenで描いてAgXで仕上げます。

07 K2の写真と同じ位置で比べる

K2の生データには、3DGSより鮮明な写真が入っています。
1,032枚の写真の位置を3DGSに合わせ、同じ位置からUE5で描いて比べます。

写真とUE5をワイプで切り替えた映像です。字幕は日本語です。

K2の写真とUE5の画を並べています。
UE5側には全体の色味を整える補正をかけています。
この比較では、物の位置と大きさの差を探します。

K2の写真 1
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画 1
UE5
K2の写真 2
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画 2
UE5
K2の写真 3
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画 3
UE5
K2の写真 4
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画 4
UE5
K2の写真 5
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画 5
UE5
K2の写真 6
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画 6
UE5

08 3DGSと重ねて、隙間を数える

3DGSとも、同じカメラで重ねて比べます。

左が3DGS、右がUE5の画を重ねて切り替えた比較
左が3DGS、右がUE5です。

見た目で見つけにくい問題は、数えて直します。
たとえば、岩や地面の隙間から見える空の色のピクセルを、視点ごとに数えます。
確認用の20視点で、24,540ピクセルあった隙間が0になるまで修正しました。

修正後の地面と滝
修正後の地面です。

09 残っている差

位置と大きさは写真に近づきましたが、すべてが一致しているわけではありません。
上の6か所は、試した12か所のうち比較的合っているものを選んでいます。
合っていない場所の例が、次の画です。

草に覆われた大きな岩と水の流れが写るK2の写真
K2の写真
同じ位置から描いたUE5の画。岩の形と水の流れが写真と異なる
UE5
  • 岩と水の流れの形:草に覆われた大きな岩と、その脇の水の流れは、写真と形が違います。橋の上の苔も再現できていません。
  • 植物の種類と量:配置はスキャンから取っていますが、1株ずつの種類や形までは合わせきれていません。
  • 色と明るさ:光の入り方は写真と揃っておらず、地面は写真より明るく見える場所があります。

10 まとめ

今回の工程は、次の流れです。

  • 読み取る:3DGSから地形、岩、木、植物の形と位置を取り出します。
  • 生成する:AIが書いたスクリプトで、層ごとにシーンを組み立てます。
  • 比べる:K2の写真と3DGSを同じカメラで並べ、差を見つけて直します。
SCAN / 3DGS

実在の場所をスキャンして、
映像の背景に使える形にします

ロケ地を3DGSで記録し、BlenderやUnreal Engineで扱える形でお渡しします。
背景の制作まで含めて、用途に合わせてご相談ください。

スキャンの相談をする →
Credits / 制作

制作クレジット

中村 航
中村 航Kou Nakamura
ロケハン3D 代表 / 検証・執筆

ロケハン3D(LOCAHUN 3D)代表。
3DGSスキャンとゲームエンジン・AIを組み合わせた撮影ワークフローを研究・検証している。

@Kou45388803 をフォロー →

この記事は ロケハン3D / LOCAHUN 3D の制作メモです。
3DGSスキャン・ロケハン・VFX背景・AI制作のご相談はお気軽に。

お問い合わせ →

WORKFLOW: XGRIDS K2 SCAN → 3DGS → LCC4UNREAL → SCAN ANALYSIS → AI-GENERATED LAYERS → COMPARE WITH K2 PHOTOS AND 3DGS → FIX